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味覚障害

どんな病気ですか

味覚障害とは、食べ物の味を感じる能力が低下または異常になる状態です。味覚が鈍くなったり(味覚減退)、全く感じなくなったり(味覚消失)、また味が異常に感じられたり(味覚異常)することがあります。

「食事が楽しくない」「何を食べても砂を噛むよう」というつらさは、周囲に伝わりにくいものです。味覚障害は原因がひとつではなく、亜鉛の不足、お薬の影響、口の乾き、鼻の病気、全身の病気などが複雑に関わります。当院では日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門医が、内視鏡で鼻とのどの状態を確認し、血液検査で亜鉛をはじめとする栄養状態を調べて、原因を順序立てて探していきます。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。

3行でわかる味覚障害

食べ物の味を感じる力が落ちたり、異常に感じたりする状態です。

舌が感じ取るのは5つの味だけ。「味が分からない」の多くは、においの問題です。

亜鉛の不足、お薬の影響、口の乾き、鼻の病気など、原因はひとつではありません。

こんな症状はありませんか

味が分かりにくくなる、味が薄く感じる、味が全く分からない、何を食べても苦く感じるなどの症状があります。味覚障害が進行すると食欲が低下し、栄養不足や食欲不振による体重減少を引き起こすこともあります。

あてはまるものはありますか

  • ✓味が薄く感じる(味覚減退)・・最も多い訴えです。「味付けが濃くなったと家族に言われる」ことで気づく方もいます
  • ✓味がまったく分からない(味覚消失)
  • ✓何も食べていないのに味がする(自発性異常味覚)・・口の中がずっと苦い、金属のような味がする、といった症状です
  • ✓本来と違う味に感じる(異味症)・・甘いものが苦く感じる、など
  • ✓特定の味だけ分からない(解離性味覚障害)・・甘味だけ分からない、といった形です
  • ✓においも分からない・・味覚と嗅覚は密接に関わっており、実は嗅覚の低下が原因のこともあります

「味が分からない」の多くは、においの問題かもしれません

私たちが「味」と感じているものの大部分は、実はにおいの情報です。舌が感じ取るのは甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の5つだけで、コーヒーの香ばしさやみかんの風味は、鼻から感じ取っています。

そのため鼻がつまっているだけで「味が分からない」と感じることがよくあります。鼻の病気が背景にないかを確認することは、味覚障害の診察でとても大切です。においの症状については「嗅覚障害」のページもご覧ください。

なぜ起こるのですか

味覚障害の原因は多岐に渡ります。主な原因としては、加齢、亜鉛不足、電解質・微量元素の不足、薬剤の副作用(降圧薬、抗生剤、抗がん剤など)、口腔乾燥症、舌炎、慢性副鼻腔炎、糖尿病や腎疾患などの内科的疾患があります。また、ストレスや心因的要因によることもあります。

亜鉛の不足

味を感じる細胞(味蕾)は、体の中でも入れ替わりの早い細胞で、その新陳代謝には亜鉛が欠かせません。亜鉛が不足すると味蕾が育たなくなり、味を感じにくくなります。偏った食事、極端なダイエット、高齢による食事量の減少などが背景にあります。血液検査で調べることができます。

お薬の影響

味覚障害の原因として非常に多いものです。降圧薬、利尿薬、一部の抗菌薬、抗がん剤、抗リウマチ薬など、幅広い薬が関わります。薬を飲み始めた時期と、味がおかしくなった時期が近いかどうかが手がかりになります。

ただしご自身の判断で薬をやめないでください。処方した医師と相談のうえで調整が必要です。お薬手帳をお持ちいただけると診察がスムーズです。

口の乾き(口腔乾燥)

味の成分は唾液に溶けてはじめて味蕾に届きます。口が乾いていると、味そのものが届きません。加齢、薬の副作用、口呼吸、シェーグレン症候群などが原因になります。

鼻の病気

慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎でにおいが分からなくなると、「味が分からない」と感じます。詳しくは「鼻副鼻腔炎(ちくのう症)」のページをご覧ください。

舌や口の中の状態

舌が炎症を起こしている、カビ(カンジダ)が繁殖している、義歯が合っていない、舌苔が厚く付いているといった状態でも味覚は低下します。

全身の病気

糖尿病、腎臓の病気、肝臓の病気、貧血、甲状腺の病気などが背景にあることがあります。味覚障害が、まだ気づかれていない全身の病気の入り口になることもあります。

かぜやウイルス感染のあと

かぜをひいたあとに味やにおいが戻らないことがあります。多くは時間とともに回復しますが、長引く場合は早めにご相談ください。

「味が分からない」の多くは、実はにおいの問題です。

当院ではこう調べます

当院では、次のように順序立てて原因を探します。

  • 問診・・いつから、どんなふうに(薄い・おかしい・苦い)、きっかけ、服用中のお薬、食事の内容をうかがいます。お薬手帳をお持ちください
  • 口の中と舌の観察・・舌炎、カンジダ、乾燥の程度、義歯の状態を確認します。当院で行っています
  • 内視鏡による鼻とのどの観察・・鼻の通り、副鼻腔炎の有無、のどの状態を確認します。当院で行っています
  • 血液検査・・血清亜鉛のほか、鉄、ビタミン、血糖、腎機能、肝機能、甲状腺機能などを調べます。当院で行っています
  • 味覚機能の検査・・味を感じる程度を数値で確かめる検査(電気味覚検査、濾紙ディスク法)があります。必要と判断した場合は、これらの検査が可能な施設へご紹介します

治療はどう進みますか

治療は原因に応じて異なります。

1)原因疾患の治療 副鼻腔炎や糖尿病などの基礎疾患があれば、その治療を行います。

2)薬物療法 亜鉛不足の場合、亜鉛製剤を投与することで症状が改善することがあります。また、口腔乾燥症に対しては唾液分泌を促進する薬剤を使用します。

3)生活指導 口腔内を清潔に保つ、禁煙、禁酒、刺激物を避ける、十分な水分摂取を心がけることも重要です。

なお、唾液の分泌を促すお薬は、シェーグレン症候群など原因が限られる場合に使用します。口の乾きの原因を確かめたうえで判断します。

亜鉛の補充について

亜鉛が不足している場合は、亜鉛を含むお薬で補います。効果が現れるまでに数か月かかることが多いため、途中で「効かない」とやめてしまわず、続けていただくことが大切です。定期的に血液検査で血清亜鉛の値を確認し、必要に応じて血清銅もあわせて確認しながら進めます。

お薬が原因と考えられる場合

処方元の医師と連携し、可能であれば別の薬への変更を相談します。やめられない薬もありますので、その場合は亜鉛の補充や口腔ケアで対応します。

ご自宅でできること

口腔内の衛生管理や適切な栄養摂取(特に亜鉛を含む食品の摂取)を心がけましょう。また、服薬中の方は薬の副作用に注意し、味覚障害が疑われる場合は医師に相談してください。

亜鉛を多く含む食品は、牡蠣、赤身の肉、レバー、チーズ、大豆製品、ナッツ類などです。あわせて次の点にも気をつけてください。

  • 舌みがきは力を入れすぎない・・舌の清掃は口腔ケアとして行われますが、道具や力の入れ方、回数について最適な方法はまだ定まっていません。強くこすらず、やさしく行ってください
  • 口の乾燥を防ぐ・・水分をこまめに取り、よく噛んで唾液を出しましょう
  • 禁煙する・・喫煙は味覚を鈍らせます
  • 極端な食事制限をしない・・亜鉛やたんぱく質が不足しやすくなります

知っておいていただきたいこと

味覚障害が長期化すると生活の質が低下します。早めの受診と適切な治療を行うことが重要です。また、味覚障害は重大な疾患のサインである場合もありますので、症状が続く場合は専門的な診察が推奨されます。

よくある質問

Q1. 何科を受診すればよいですか?

A1. まずは耳鼻咽喉科をご受診ください。味覚障害は、鼻・のど・口の中の状態が深く関わるため、耳鼻咽喉科で全体を見ることができます。全身の病気や薬が原因と分かった場合は、内科や処方元の医師と連携して進めます。

Q2. 亜鉛のサプリメントを飲めばよいですか?

A2. まず血液検査で本当に不足しているかを確認することをおすすめします。亜鉛は摂りすぎると銅の吸収を妨げるなど、別の問題を起こすことがあります。不足が確認できれば、適切な量のお薬で補います。

Q3. どのくらいで治りますか?

A3. 原因によって大きく異なります。口の乾燥や口の中の炎症が原因なら比較的早く改善します。亜鉛不足の場合は数か月かかることが多いです。発症から時間が経つほど回復に時間がかかる傾向がありますので、早めの受診をおすすめします。

Q4. 高齢だから仕方ないのでしょうか?

A4. 加齢で味蕾の数は減りますが、「年のせい」で片づけてしまうと、治せる原因を見逃します。高齢の方こそ、薬の影響、口の乾き、亜鉛不足といった対応できる原因が重なっていることが多いのです。食欲が落ちて低栄養につながる前にご相談ください。

Q5. 口の中がずっと苦いのですが、これも味覚障害ですか?

A5. はい。何も口にしていないのに味を感じる状態を自発性異常味覚といい、味覚障害のひとつです。亜鉛不足や薬の影響、口の乾燥などが背景にあることが多く、原因を調べる意味があります。

Q6. かぜのあとから味が分かりません。

A6. かぜのあとの味覚・嗅覚の低下は珍しくありません。鼻づまりが取れれば戻ることが多いのですが、鼻の症状が治ったのに戻らない場合は、においの神経が影響を受けている可能性があります。回復には時間がかかるため、早めにご相談ください。

院長より

“

味覚障害は、外から見えないうえに検査の数値にも表れにくいため、「気のせい」「年のせい」とされてしまいがちです。しかし、食事は毎日のことであり、味が分からない状態が続けば食欲も落ち、体力にも影響します。決して軽い症状ではありません。

当院では、まず鼻とのどを内視鏡で確認し、口の中の状態を診て、血液検査で亜鉛をはじめとする栄養状態を調べます。そのうえで、お薬手帳を拝見しながら服用中の薬の影響を検討します。味覚障害は「原因を順番に確かめていく」ことでしか答えにたどりつけません。だからこそ、耳鼻咽喉科でまとめて確認する意味があります。

「食事がおいしくない」と感じたら、それは体からの信号かもしれません。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分、院内は段差のないバリアフリー設計です。お気軽にご相談ください。

いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎

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執筆・医学監修:いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医/日本めまい平衡医学会認定 めまい相談医/日本嚥下学会認定 嚥下相談医
最終医学確認:2026年9月20日
経歴・資格の詳細は「医師紹介」のページをご覧ください。

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