咽喉頭酸逆流症(LPRD)

どんな病気ですか
咽喉頭酸逆流症(LPRD)とは、胃酸が食道を逆流し、咽頭や喉頭の粘膜を刺激して起こる炎症です。胃酸が喉まで逆流すると、喉の粘膜を刺激し、さまざまな不快な症状を引き起こします。
「のどに何か引っかかっている」「咳払いが止まらない」「朝になると声がかすれている」という症状で受診され、のどを診ても大きな異常が見つからない——そのようなときに考える病気です。胸やけがないため、ご自身では胃酸が原因とは思いもよらないことがほとんどです。当院では日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門医が、内視鏡でのどと声帯の状態を確認し、ほかの病気が隠れていないかを確かめたうえで診断します。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。
3行でわかる咽喉頭酸逆流症
胃酸がのどまで逆流して、のどの粘膜を刺激する病気です。
胸やけがないため、ご自分では胃酸が原因とは思いもよりません。
のどの違和感、止まらない咳払い、朝の声がれが手がかりです。
こんな症状はありませんか
主な症状は、喉の違和感(異物感、痰が絡む感じ)、慢性的な咳、声のかすれ、喉の痛み、飲み込みづらさ、胸やけなどです。特に食後や横になったときに症状が強まる傾向があります。
あてはまるものはありますか
- ✓のどの違和感・異物感・・何か引っかかっている、詰まっている感じが続きます
- ✓咳払いがくせになる・・すっきりさせようとして何度も咳払いをしてしまいます
- ✓痰がからむ感じ・・実際には痰が出ないのに、からむ感じが取れません
- ✓声のかすれ・・特に朝起きたときに強く、日中は少しずつ改善することがあります
- ✓慢性的な咳・・かぜでもないのに咳が続きます
- ✓のどの痛み・ヒリヒリ感
- ✓飲み込みにくさ
胸やけがなくても、この病気のことがあります
胃食道逆流症(いわゆる逆流性食道炎)では胸やけが典型的な症状ですが、のどに症状が出るタイプでは、胸やけを自覚しない方が少なくありません。「胃は何ともないから、のどの病気だろう」と思われるのはそのためです。
症状が食後や横になったとき、前かがみになったときに強くなる場合は、逆流が関わっている可能性があります。
すぐに受診をおすすめする目安
のどの違和感は、ほかの病気でも起こります。次の場合は早めに受診してください。
- 声のかすれが2週間以上続く・・特に喫煙される方は、喉頭がんの確認が必要です
- 食べ物がつかえる、飲み込むときに痛む
- 体重が減ってきた
- 血の混じった痰が出る
- 首にしこりを触れる
- 症状がだんだん強くなっている
のどの違和感全般については「咽喉頭異常感症」のページもご覧ください。
胸やけがないので、ご自分では胃酸が原因とは思いもよりません。
なぜ起こるのですか
主な原因は胃酸の逆流(胃食道逆流症:GERD)です。食道と胃の間の逆流防止機構が弱まると、胃酸が食道を通って喉や咽頭まで到達し、炎症を引き起こします。加齢により胃と食道のつなぎ目が緩くなり起こることもあります。肥満、食生活(脂肪分の多い食事や食べ過ぎ)、アルコール摂取、ストレスなどが症状を悪化させる要因です。
のどは胃酸に弱い場所です
食道の粘膜はある程度の酸に耐えられるようにできていますが、のどや声帯の粘膜は、そうした備えがありません。そのため、食道では問題にならない程度のわずかな逆流でも、のどには症状が出ることがあります。
悪化させやすい生活習慣
- 食べてすぐ横になる・・就寝直前の食事は特に影響します
- 食べ過ぎ・早食い
- 脂肪分の多い食事、甘いもの、酸味の強いもの
- アルコール、カフェイン、炭酸飲料
- 喫煙
- 締めつける衣類、前かがみの姿勢、腹圧のかかる作業
- 肥満
当院ではこう調べます
のどの症状には多くの原因があるため、まずほかの病気がないかを確かめることから始めます。
- 内視鏡によるのど・声帯の観察・・のどの奥や声帯の状態を直接確認します。逆流に伴う所見がないか、腫瘍などほかの病変がないかを確かめます。当院で行っています
- 鼻の観察・・後鼻漏(鼻水がのどに流れ落ちる状態)でも同じような症状が出ます。当院で行っています
- 血液検査・・貧血や甲状腺の病気など、のどの違和感の背景を調べることがあります。当院で行っています
なお、逆流の程度を詳しく調べる検査(食道のpH測定など)や、胃と食道そのものの状態を確認する内視鏡検査は、消化器を専門とする医療機関で行われます。必要と判断した場合はご紹介します。
治療はどう進みますか
治療の目的は胃酸の逆流を抑え、喉の炎症を改善することです。
1)生活習慣の改善: 食事後すぐに横にならない、寝る際に枕を高くする、脂肪分の多い食事や飲酒、喫煙を避けるなどが推奨されます。
2)薬物療法: 胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)や胃酸中和剤(制酸剤)を主に使用します。粘膜保護薬を併用することもあります。
3)音声・喉頭のケア: 声を多く使う職業の方には、喉を守る発声法や日常生活でのケア方法を指導します。
治療には時間がかかります
のどの症状は、胸やけなどの症状に比べて改善までに時間がかかることが知られています。数週間で変化を感じない場合もありますが、自己判断で中断せず、経過を見ながら続けていただくことが大切です。効果の現れ方を確認しながら、お薬の量や期間を調整します。
咳払いを減らすことも治療のうちです
のどの違和感を取ろうとする咳払いは、声帯どうしを強くぶつける動作で、のどの粘膜をさらに傷めます。違和感があるときは、咳払いの代わりに水を一口飲むようにしてみてください。声への影響については「声帯ポリープ・声帯結節」のページもご覧ください。
ご自宅でできること
日常的な食事の管理(過食を避ける、食後すぐに横にならない)、生活習慣の改善(肥満の解消、禁煙・禁酒)を行うことが重要です。また、ストレスを避けてリラックスすることも症状軽減に役立ちます。
ご自宅でできることを具体的にまとめます。
- 就寝の2〜3時間前までに食事を済ませる
- 上半身を少し高くして寝る・・枕だけを高くすると首が曲がるので、上半身全体をゆるやかに起こすのがよいとされます
- 腹八分目にする
- ベルトや衣類で腹部を締めつけない
- 禁煙する
知っておいていただきたいこと
症状が長期間続く場合や改善しにくい場合は、他の疾患(咽喉頭がん、食道がんなど)の可能性も考えられますので、専門的な診察や検査が必要になります。早期受診と継続的な管理をおすすめします。
よくある質問
Q1. 胸やけがないのに、胃酸が原因なのですか?
A1. のどに症状が出るタイプでは、胸やけを感じない方が少なくありません。のどの粘膜は食道より酸に弱いため、食道では問題にならない程度の逆流でも、のどには症状が出ることがあるためです。
Q2. どのくらいで良くなりますか?
A2. のどの症状は、胸やけなどに比べて改善に時間がかかることが知られています。数週間では変化を感じにくいこともありますので、経過を見ながら続けることが大切です。効果の現れ方を確認しながら調整していきます。
Q3. 市販の胃薬でもよいですか?
A3. 一時的にはやわらぐことがありますが、のどの症状が続いている場合は、まずほかの病気が隠れていないかを確かめることが大切です。特に声のかすれが続く場合は、のどを直接診る必要があります。市販薬で様子を見続けるより、一度ご相談ください。
Q4. のどの違和感は、がんではないかと不安です。
A4. その不安はもっともです。だからこそ、まず内視鏡でのどと声帯を直接確認します。実際に見て問題がないことを確認できれば、それ自体が安心につながります。そのうえで、逆流が関わっているかを考えていきます。
Q5. 咳が続いています。のどが原因のこともありますか?
A5. あります。長引く咳の原因として、逆流や後鼻漏(鼻水がのどに流れ落ちる状態)が関わっていることがあります。当院では鼻とのどの両方を確認し、原因を探します。ぜんそくなど呼吸器の病気が疑われる場合は、内科と連携します。
Q6. 声を使う仕事です。気をつけることはありますか?
A6. のどの粘膜が荒れた状態で声を使い続けると、声帯にも負担がかかります。咳払いを減らす、こまめに水分を取る、就寝前の食事を避けることを心がけてください。声の使い方についても診察時にお伝えします。
院長より
のどの違和感は、患者さんにとって非常に気になる症状です。「がんではないか」という不安を抱えて来院される方も多くいらっしゃいます。だからこそ当院では、まず内視鏡でのどと声帯を実際に見て、心配な病変がないことを確認するところから始めます。
そのうえで、逆流が関わっていると考えられる場合は、お薬と生活の見直しを組み合わせて治療します。のどの症状は改善までに時間がかかることが多いため、経過を一緒に確認しながら進めていきます。「なかなか良くならない」と感じたときこそ、途中でやめずにご相談ください。
西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分、院内は段差のないバリアフリー設計です。のどの症状全般については「のどの痛み」のページもあわせてご覧ください。
いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎
執筆・医学監修:いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医/日本めまい平衡医学会認定 めまい相談医/日本嚥下学会認定 嚥下相談医
最終医学確認:2026年9月20日
経歴・資格の詳細は「医師紹介」のページをご覧ください。
