メニュー

慢性中耳炎

どんな病気ですか

慢性中耳炎とは、急性中耳炎が十分に治癒せず慢性化したもので、鼓膜に穴(鼓膜穿孔)が残り、耳漏(耳だれ)や難聴が持続する状態を指します。

「耳だれがくり返し出る」「若いころから耳が悪い」「プールや洗髪のあとに必ず耳だれが出る」という形で長くつき合ってこられた方が多い病気です。当院では日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門医が、顕微鏡と内視鏡で鼓膜の状態を直接確認し、聴力検査で聞こえの程度を数値で把握したうえで治療方針を立てます。院長は大学病院で耳の手術を数多く経験しており、手術が必要な状態かどうかの見極めを大切にしています。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。

3行でわかる慢性中耳炎

急性中耳炎が治りきらず、鼓膜に穴が残った状態です。

穴があいている分だけ音を伝える力が落ち、外から水や細菌が入りやすくなります。

洗髪やプール、かぜのあとに耳だれがぶり返します。

こんな症状はありませんか

慢性中耳炎の主な症状は、耳漏(黄色または粘性の分泌物)と難聴です。難聴は通常軽度~中等度ですが、状態が悪化すると高度の難聴になることもあります。耳痛を伴うことは少ないですが、感染が強い場合には痛みや耳のかゆみを感じることもあります。

あてはまるものはありますか

  • ✓耳だれ(耳漏)・・黄色っぽい、あるいは粘り気のある分泌物が出ます。においを伴うこともあります
  • ✓難聴・・鼓膜に穴があいている分、音を伝える力が落ちます。多くは軽度から中等度です
  • ✓耳の詰まった感じ・・耳だれがたまると強くなります
  • ✓耳鳴り・・難聴に伴って生じることがあります
  • ✓耳の痛み・かゆみ・・ふだんは痛みませんが、感染が強くなると出てきます

症状が出やすいきっかけ

鼓膜に穴があいているため、外から水や細菌が中耳に入りやすい状態です。次のようなときに耳だれがぶり返します。

  • 洗髪・入浴・シャワーで耳に水が入ったとき
  • プールや海に入ったとき
  • かぜをひいたとき
  • 耳かきで外耳道を傷つけたとき

すぐに受診をおすすめする目安

次のような症状は、炎症が中耳の外へ広がっているおそれがあります。様子を見ずに受診してください。

  • 耳の後ろが腫れる、押すと痛い
  • 強いめまいが起こる、ふらつきが続く
  • 顔が動かしにくい、口の端から水がこぼれる
  • 急に聞こえが悪くなった
  • 発熱を伴う強い耳の痛み

なぜ起こるのですか

急性中耳炎の慢性化

主な原因は急性中耳炎が繰り返されたり、適切な治療を受けなかった場合に、鼓膜に穿孔が生じ、感染が持続して慢性化することです。鼓膜に穴があくことで中耳が常に外気にさらされ、感染や炎症を繰り返します。これが慢性化すると、中耳内の骨や粘膜の状態が徐々に悪化し、難聴や耳漏が持続します。

お子さんの急性中耳炎については「急性中耳炎」のページをご覧ください。

耳管の働きの低下

耳管は鼻と中耳をつなぐ管で、中耳の換気と排泄を担っています。この働きが落ちていると中耳の状態が保てず、炎症がくり返されます。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など、鼻の慢性的な炎症が背景にあることも少なくありません。鼻の治療が耳の治療につながる、というのは耳鼻咽喉科でよくあることです。

外からの水や細菌

鼓膜の穴を通して中耳に細菌が入ると、そのたびに耳だれが出ます。耳に水を入れないようにすることが、日常でできる最も大切な対策です。

どんな種類がありますか

慢性化膿性中耳炎

いわゆる典型的な慢性中耳炎です。鼓膜に穴が残り、耳だれと難聴がくり返されます。

真珠腫性中耳炎

鼓膜の一部が中耳の中へ入り込み、皮膚のあかが真珠のようにたまって周囲の骨を壊していく病気です。単なる慢性中耳炎とは経過も治療もまったく異なり、手術が必要になることがほとんどです。詳しくは「真珠腫性中耳炎」のページをご覧ください。

癒着性中耳炎

鼓膜が中耳の奥の壁に貼りついてしまった状態です。滲出性中耳炎が長引いた後に起こることがあり、難聴が強く出ます。

鼓室硬化症

長年の炎症により、中耳の中に石灰のようなかたまりができ、耳小骨の動きが悪くなった状態です。

鼓膜に穴が残っている分だけ、水や細菌が入りやすくなります。

当院ではこう調べます

当院では、次の検査で状態を確認します。

  • 顕微鏡・内視鏡による鼓膜の観察・・穴の位置と大きさ、耳だれの性状、真珠腫がないかを直接確認します。当院ではこの検査を行っています
  • 純音聴力検査・・聞こえの程度を数値で確認します。音を伝える部分の障害(伝音難聴)か、内耳の障害(感音難聴)かを見分けることができ、手術で改善が見込めるかの判断につながります。当院で行っています
  • ティンパノメトリー・・鼓膜と中耳の状態を調べます。当院で行っています
  • 耳漏の細菌検査・・耳だれが続く場合、原因菌に合う薬を選ぶために行うことがあります
  • 画像検査・・骨の破壊の程度や手術の必要性を評価する場合には、CT検査が用いられます。必要と判断した場合は、検査が可能な医療機関と連携して進めます

治療はどう進みますか

耳漏を止める治療

治療の第一段階は耳漏のコントロールです。耳鼻科で耳を定期的に清掃し、抗生剤の点耳薬を使用して炎症を鎮静化します。また、感染がひどい場合は内服薬も使用します。

耳の中の清掃は、顕微鏡で見ながら行うことで、鼓膜や外耳道を傷つけずに耳だれや汚れを取り除くことができます。点耳薬は、鼓膜に穴があいている耳にも使える種類を、耳の状態や細菌検査の結果に応じて選びます。市販の点耳薬を自己判断で使わないでください。また「耳に垂らして終わり」ではなく、薬が中耳まで届くように正しい姿勢で行うことが大切です。診察時にお伝えします。

手術による治療

鼓膜の穴が自然に閉じない場合は、鼓膜再生療法か、手術による鼓膜形成術・鼓室形成術を検討します。鼓膜再生療法は、当院では現在、導入に向けて準備中です。導入までの間は、実施している医療機関へご紹介します。手術が必要と判断した場合は、専門施設へご紹介します。

手術の目的は2つあります。ひとつは穴をふさいで耳だれを止め、水を気にせず生活できるようにすること。もうひとつは聞こえを改善することです。どちらをどこまで期待できるかは、耳小骨の状態や内耳の機能によって変わります。聴力検査の結果から、その見通しをご説明します。

鼓膜再生療法について

近年、鼓膜の穴に対して、薬剤を用いて自分の組織の再生を促す治療(鼓膜再生療法)が行われるようになりました。当院では現在、鼓膜穿孔に対するトラフェルミン製剤を用いた鼓膜再生療法の導入に向けて、準備を進めています。入院の要らない外来での処置で、2019年11月から健康保険が適用されています。ただし、活動している耳だれや炎症があるあいだは行えません。まず炎症を抑え、適応があるかどうかを確かめてからご案内します。

鼻の治療

耳管の働きを整えるため、背景にある鼻の病気の治療も並行して行います。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎がある場合は、そちらの治療が中耳の状態の安定につながります。

ご自宅で気をつけること

  • 耳に水を入れない・・洗髪や入浴のときは、耳を下に向ける、綿球にワセリンを付けて栓をするなどの工夫をします。方法は診察時にお伝えします
  • プールは主治医と相談する・・鼓膜の穴の大きさや耳だれの状態によって判断が変わります
  • 耳かきをしすぎない・・外耳道を傷つけると、そこから感染することがあります。詳しくは「耳あか」のページをご覧ください
  • かぜに伴って耳の症状が出たら受診する・・耳だれ、耳の痛み、聞こえの悪化が出たときは早めにご相談ください
  • 耳だれが出たら放置しない・・炎症が続くと、難聴や合併症につながることがあります

知っておいていただきたいこと

慢性中耳炎は放置すると徐々に難聴が進行し、感染が中耳周囲の骨(乳突蜂巣)に広がり、骨融解を引き起こすことがあります。さらに、稀に顔面神経麻痺や内耳炎など重篤な合併症を起こすこともあります。そのため、早期診断と継続的な治療が大切です。

病名は現時点での診断です。経過観察中に他の病気が判明した場合、診断や治療方針が変わることがあります。

よくある質問

Q1. 鼓膜の穴は自然にふさがりますか?

A1. 急性中耳炎などで一時的にあいた穴は自然に閉じることが多いのですが、慢性中耳炎として長く残っている穴は自然には閉じにくいのが実際です。穴の縁の状態が変化してしまっているためです。閉じるかどうかは、穴の大きさや場所、耳だれの有無によって見通しが変わります。

Q2. 耳だれが出ていないときも通院が必要ですか?

A2. 症状が落ち着いているときこそ、状態を保つ意味があります。耳だれをくり返す状態を放置すると、中耳の炎症が続き、難聴や合併症につながることがあります。また、真珠腫のように症状が乏しいまま進行するものもありますので、定期的に鼓膜を見せていただくことをおすすめします。

Q3. 手術をすれば聞こえは元に戻りますか?

A3. 手術で穴をふさぐと、多くの場合、聞こえは改善します。ただしどこまで戻るかは、耳小骨の状態と内耳の機能によります。長年の炎症で耳小骨が傷んでいる場合や、内耳の働き自体が落ちている場合は、改善の幅が限られます。手術前の聴力検査でおおよその見通しをご説明できます。

Q4. お風呂やプールはどうすればよいですか?

A4. 耳に水が入らないようにすることが原則です。入浴や洗髪は工夫すれば問題ありませんが、潜る泳ぎ方は避けたほうがよいことが多いです。鼓膜の穴の大きさによって判断が変わりますので、実際の状態を診たうえでお答えします。

Q5. 補聴器は使えますか?

A5. 使えます。手術を希望されない場合や、手術をしても聞こえが十分でない場合には補聴器が有効な選択肢です。ただし耳だれが出ている状態では補聴器を入れにくいため、まず耳漏を落ち着かせることが先になります。詳しくは「補聴器相談」のページをご覧ください。

Q6. 子どものころからの中耳炎です。今から治療しても意味がありますか?

A6. あります。長く放置された耳ほど、これ以上悪くしないことに意味があります。耳だれを止めることで日常の不快感が減り、聞こえの低下の進行も抑えられます。手術が選択肢になる場合もありますので、まず現在の状態を確認させてください。

院長より

“

慢性中耳炎は、長い年月をかけて少しずつ進む病気です。「昔から耳だれが出るもの」「片方は聞こえないもの」として受け入れてこられた方も多くいらっしゃいます。しかし、耳だれをくり返すたびに中耳の状態は着実に悪くなり、聞こえも下がっていきます。

私は大学病院で耳の手術を数多く経験し、内視鏡を用いた体への負担が少ない手術にも取り組んできました。だからこそ、手術で得られるものと、そうでない場合にできることの両方をご説明できると考えています。鼓膜形成術や鼓室形成術は当院では行っておりませんので、手術が必要と判断した場合には適切な施設へ責任をもってご紹介します。一方、鼓膜穿孔に対する鼓膜再生療法は、当院での導入に向けて準備を進めています。

まずは、ご自身の耳が今どういう状態なのかを知るところから始めましょう。院内は段差のないバリアフリー設計で、西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。聞こえについては「難聴」のページもあわせてご覧ください。

いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎

「耳の症状」の一覧から、ほかの症状を探す


執筆・医学監修:いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医/日本めまい平衡医学会認定 めまい相談医/日本嚥下学会認定 嚥下相談医
最終医学確認:2026年9月26日
経歴・資格の詳細は「医師紹介」のページをご覧ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME