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騒音性難聴

騒音性難聴の聴力検査では4000ヘルツ付近だけがくぼむ。会話で使う音域は最後まで残るため自覚が出たときには進んでいる。失われた聞こえは戻らないが防ぐことはできる

どんな病気ですか

騒音性難聴とは、大きな音に長時間または繰り返し曝露されることにより起こる聴力障害です。工場など騒音環境での勤務や、大音量の音楽を長時間聞き続けることで起こることがあります。通常、高音域から難聴が始まり、徐々に進行します。

この病気の最も大切な点は、いったん失われた聞こえは元に戻らない一方で、防ぐことはできるということです。だからこそ、まだ自覚がないうちに気づくことに意味があります。当院では日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定の耳鼻咽喉科専門医が、純音聴力検査で高音域の状態を数値で確認し、変化を追っていきます。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。

3行でわかる騒音性難聴

大きな音を長く、くり返し聞くことで起こる難聴です。

会話の音域より高い4000ヘルツ付近から先に下がるため、自覚が出たときにはかなり進んでいます。

いったん失われた聞こえは戻りません。けれど、防ぐことはできます。

こんな症状はありませんか

症状としては、初期には耳鳴りや高音域の音が聞き取りにくくなることから始まります。進行すると通常の会話も聞き取りづらくなり、会話が理解しにくくなることがあります。また、耳鳴りを併発することが多く、静かな環境で特に気になることがあります。

あてはまるものはありますか

  • ✓耳鳴り・・「キーン」という高い音の耳鳴りが、最初のサインになることがあります
  • ✓高い音が聞き取りにくい・・電子音、小鳥の声などから気づきにくくなります
  • ✓騒がしい場所での聞き取りにくさ・・静かな場所では困らないのに、複数人での会話がつらくなります
  • ✓耳が詰まった感じ・・大音量にさらされた直後に起こります
  • ✓音がひずんで聞こえる

気づきにくいのは、会話の音域が最後まで残るからです

騒音性難聴は、会話で使う音域より高い、4000ヘルツ付近から先に低下するのが特徴です。日常会話は成り立つため、ご本人には「聞こえている」と感じられます。聴力検査のグラフでは、この部分だけがくぼんだ特徴的な形になります。

つまり、自覚が出たときにはすでにかなり進んでいることが多いのです。検査でしか捉えられない段階で見つけることに、大きな意味があります。

大きな音のあとの一時的な症状に注意

ライブやコンサートのあとに、耳が詰まった感じや耳鳴りが数時間から一晩続くことがあります。多くは元に戻りますが、これは内耳が傷を受けたサインです。くり返すうちに、戻らない難聴へ変わっていきます。

なお、大きな音のあとに片耳だけ急に聞こえなくなった場合は、音響外傷や突発性難聴の可能性があり、治療は早いほど効果が期待できます。すぐに受診してください。詳しくは「突発性難聴」のページをご覧ください。

なぜ起こるのですか

騒音性難聴は、大きな音にさらされることで内耳の蝸牛(聴覚を司る器官)の有毛細胞が損傷を受けることで発症します。特に、85dB以上の騒音環境に長時間さらされることがリスクを高めます。また、一度障害を受けた内耳の神経細胞は再生しないため、長期間の騒音暴露は不可逆的な難聴を引き起こします。

どのくらいの音が危険なのか

音の大きさと、さらされる時間の両方が関わります。85デシベルは、走行中の電車の車内や、交通量の多い道路のそばに相当する大きさです。音が大きくなるほど、許容できる時間は短くなります。

  • 工場・建設現場・工事の音
  • ライブハウス、コンサート、クラブ
  • イヤホン・ヘッドホンでの大音量再生
  • 射撃、花火、爆発音・・一度でも強い衝撃音は内耳を傷つけます
  • チェーンソー、草刈り機などの動力工具

イヤホンによる難聴が増えています

周囲がうるさい場所ほど音量を上げてしまうため、電車内での使用は特に注意が必要です。周りの音が聞こえなくなるほどの音量は、内耳に負担がかかっています。イヤホンによる聞こえへの影響については「イヤホン難聴にご注意ください」でも詳しく説明しています。

いったん失われた聞こえは戻りません。けれど、防ぐことはできます。

当院ではこう調べます

当院では、次の検査で聞こえの状態を確認します。

  • 純音聴力検査・・音の高さごとに、どのくらいの大きさから聞こえるかを調べます。騒音性難聴では4000ヘルツ付近だけがくぼんだ特徴的なグラフになることが多く、自覚のない段階でも捉えられます。当院で行っています
  • 語音聴力検査・・言葉としてどれだけ正しく聞き取れるかを調べます。当院で行っています
  • ティンパノメトリー・・中耳に問題がないかを確認し、ほかの原因と区別します。当院で行っています
  • 耳の中の観察・・耳あかや鼓膜の状態を顕微鏡や内視鏡で確認します。当院で行っています

騒音環境で働く方は、定期的に検査を受けて数値の変化を追うことが大切です。1回の検査より、経過を比べることで早い変化に気づけます。

治療はどう進みますか

騒音性難聴には、残念ながら根本的な治療法がありません。そのため、予防が最も重要となります。大きな音を避け、騒音環境では耳栓やイヤーマフなどの保護具を使用することが推奨されます。耳鳴りが強い場合には、耳鳴りを軽減する薬物療法や音響療法を行います。また、すでに難聴が進行している場合には、補聴器の使用を検討することもあります。

これ以上進めないことが治療です

失われた有毛細胞は戻りませんが、これから先の低下を抑えることはできます。騒音を避け、保護具を使い、定期的に検査を受ける。この3つが実質的な治療になります。

耳鳴りへの対応

騒音性難聴に伴う耳鳴りは、聞こえにくくなった音域を脳が補おうとして生じると考えられています。耳鳴りについては「耳鳴症」のページで詳しく説明しています。

補聴器について

難聴が進んで日常生活に支障が出ている場合は、補聴器が選択肢になります。当院の院長は補聴器相談医・補聴器適合判定医であり、聴力検査の結果から必要性と効果の見通しをご説明します。詳しくは「補聴器相談」のページをご覧ください。

ご自宅でできること

耳を守るためにできることは、はっきりしています。

  • 音量を下げる・・イヤホンは、周囲の音が聞こえる程度の音量にしてください
  • 連続して聞く時間を短くする・・こまめに耳を休ませます
  • 耳栓・イヤーマフを使う・・騒音環境で働く方、ライブに行く方は、音楽用の耳栓を使うと音質を保ちながら音量を下げられます
  • 音源から離れる・・ライブではスピーカーの正面を避けるだけでも違います
  • 静かな時間を作る・・大きな音にさらされたあとは、耳を休ませてください
  • 定期的に聴力検査を受ける

知っておいていただきたいこと

騒音性難聴は進行すると日常生活や仕事に支障をきたす可能性があります。騒音環境で作業をする方や音楽を頻繁に大音量で聴く方は、定期的な聴力検査を受け、早期の段階で異常を見つけて適切な対処を行うことをおすすめします。

よくある質問

Q1. もう治らないのですか?

A1. 失われた有毛細胞は再生しないため、下がってしまった聴力を元に戻すことはできません。しかしこれから先の低下は防げます。「治らない」ではなく「これ以上進めない」ことに、大きな意味があります。

Q2. ライブのあと耳鳴りがしますが、数日で治まります。大丈夫ですか?

A2. 一時的に戻っても、それは内耳が傷を受けたサインです。くり返すうちに戻らなくなります。音楽用の耳栓を使う、スピーカーの正面を避けるといった対策をおすすめします。

Q3. イヤホンはどのくらいの音量なら安全ですか?

A3. 明確な線引きは難しいのですが、目安として周囲の音や人の声が聞こえる程度の音量にしてください。電車内など騒がしい場所では音量を上げがちなので、外の音を遮るタイプのイヤホンのほうが結果的に音量を抑えられます。

Q4. 職場の騒音が心配です。何をすればよいですか?

A4. まず現在の聴力を検査で記録しておくことをおすすめします。基準となる数値があれば、その後の変化に早く気づけます。あわせて、職場で支給される保護具を確実に使ってください。

Q5. 片方の耳だけ急に聞こえなくなりました。

A5. 騒音性難聴は通常、両耳に少しずつ起こります。片耳だけ急に聞こえなくなった場合は別の病気を考える必要があり、治療は早いほど効果が期待できます。すぐに受診してください。

Q6. 子どものイヤホン使用が心配です。

A6. 若いうちからの大音量は、将来の聞こえに影響します。音量の上限を設定する、時間を決める、周囲の音が聞こえる音量にする、といった習慣をつけてあげてください。お子さんの耳の相談は「小児耳鼻咽喉科」のページもご覧ください。

院長より

“

騒音性難聴は、耳鼻咽喉科の病気のなかでも「予防がそのまま治療になる」数少ない病気です。裏を返せば、進んでしまってから来院されても、できることが限られてしまいます。

この病気は会話の音域より高いところから低下するため、ご自身では気づけません。だからこそ、騒音環境で働く方、音楽をよく聴く方には、症状がなくても一度聴力検査を受けていただきたいのです。検査のグラフを見れば、自覚のない段階の変化も捉えられます。

そして、耳鳴りや聞こえにくさが出てきた方も、あきらめないでください。これ以上進めないための方法があり、補聴器という選択肢もあります。西武新宿線「井荻駅」から徒歩4分です。聞こえのお悩みは「難聴」のページもあわせてご覧ください。

いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎

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執筆・医学監修:いおぎ耳鼻咽喉科 院長 三宅 恵太郎
日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会認定 耳鼻咽喉科専門医/日本めまい平衡医学会認定 めまい相談医/日本嚥下学会認定 嚥下相談医
最終医学確認:2026年9月20日
経歴・資格の詳細は「医師紹介」のページをご覧ください。

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