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低音障害型感音難聴

  • 病気について

 突然耳が詰まった様な症状で発症する耳の疾患です。「聞こえない」と言うほど強い症状ではなく、「耳が詰まった感じ」とか「音が変にゆがんで聞こえる」などの症状が多いです。人の話し声の周波数よりも低い周波数が聞こえにくくなる、急性感音難聴の一つです。聴覚の神経である内耳(蝸牛:かぎゅう)に異常が起こると考えられています。「蝸牛型メニエール病」「内リンパ水腫」などと表現することもあります。内耳は、聴覚に関与する「蝸牛(かぎゅう)」と平衡感覚に関与する「前庭(ぜんてい)」に分かれます。 蝸牛・前庭ともに、内耳はその内部に「リンパ液」という水が入っています。何らかの原因で、蝸牛の水の出し入れのバランスが崩れてしまうことがあります。特に、水が出てゆく経路に異常が生じると、蝸牛の「水はけ」が悪くなり、リンパ液が溜まりすぎてしまいます。そうすると、蝸牛内の水圧が上がり、蝸牛は正常に機能できなくなります。この内耳の圧変化を一番受けるのが、低い周波数の音を感じる神経と考えられており、そのため低周波数の聴力が限局して低下したもの、 これが「低音障害型感音難聴」の病態ではないかと考えられています。

 なぜ、水が出てゆく経路に異常が生じるのかは、まだはっきりとは解明されていません。ただ、疲労やストレスを抱えているときに発症することが多いという事実があります。疲労・ストレスがあると自律神経機能が低下します。 自律神経が調節を行なっているものの一つに、「血管の縮み具合」があります。 蝸牛から水を出す経路の血管が、自律神経の異常によって急に縮んで細くなってしまうと、蝸牛から水が出て行けなくなり、リンパ液が溜まりすぎる状態となります。これが「低音障害型感音難聴」のメカニズムではないかと考えられています。同様に、動脈硬化などで蝸牛の循環が悪くなった時にも同様の病態が生じると考えられています。

  • 治療

 治療の基本は、根本原因である疲れ、ストレスをためないようにすることと、定期的な有酸素運動が重要です。水分摂取は、たくさん摂るべきとする意見と、摂りすぎはよくないとする意見がありますが、少なくとものどが渇く脱水状態は内リンパ水腫を助長する(水分を保持するホルモンの影響)ので、こまめに水分は摂りましょう。薬による治療では、循環不全を改善させる薬剤や、水分自体を取り除く利尿剤を使用します。抗ストレス効果や、水分バランスを調節する作用を持った漢方薬を使用することもあります。

  • 治療成績

 早い人は数日で治ります。しかし薬に反応しない場合もしばしばあり、その場合は内服を継続します。内服で長い間改善しなかった場合でも、環境の変化(引っ越し、職場の変化など)により改善する場合があります。少ないですが、改善しない場合もあります。また、一度良くなっても繰り返すことがあり、繰り返すうちに聴力が低下したまま固定することもあります。また、片耳だけだったものが両耳に発症することもあります。

  • メニエール病との関係

 「メニエール病」と異なる点は、「メニエール病」は回転性のめまいを伴いますが、「低音障害型感音難聴」はめまいを伴いません。あくまでも聞こえの症状だけです。ただ、最近の学説では、これらは程度の問題であり、「内耳の水ぶくれ」が蝸牛だけでとどまった場合は 「低音障害型感音難聴」で、前庭を含む内耳全体に生じた場合には「メニエール病」になるのではないか、という 考え方もありますが、まだ明らかにはなっていません。蝸牛だけの水ぶくれということで、「蝸牛型メニエール病」といわれることもあります。

  • 特記事項

 病名は現時点での診断です。経過観察中に変わることがあります。

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